英才教育課題解説

こどもの英才教育【gifted-child】の解説集です!

《 問題解説3》小麦粉生地を半分にする方法を考えよう!

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この問題、実は1グラムの誤差もなく正確に半分にしようとするととてつもなく難しい問題ですが、この問題では半分に近い2つの生地にするための考え方(ロジック)に価値があります。

「そんなの正確じゃないでしょ!」と思うかもしれませんが、そのような思考の制限が自由で柔軟な思考を妨害します。正確さは思考を繰り返しながら精度をあげていけばよし。まずは自由で柔軟な思考で方法を考えることが大事です。

生地を同じ大きさの2つの生地にするためには、生地の大きさ(体積)と重さ(重量)、生地の大きさに対する重さ、など生地をよく観察(生地について考える)することが第一歩です。

生地に対する情報を元に、生地を同じ大きさにするためのアイディアを考えていくのです。

それでは、子供たちが出した答案例を一部紹介します。

 

1.パン屋さんの職人さんに2つに分けてもらう

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こちら、採点教員全員が驚愕した答案ですが、結論的に高い得点を得た答えです。まったく予想できなかった答案ですが、熟練の職人の技を借りることで生地を同じ大きさに分けてもらうのは良いアイディアです。

 

2.小さなコップに生地を詰めて、同じ回数生地を切り取れば同じ大きさになる

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 生地は中も外も同じ小麦粉の生地なので重さは一定です。そのために重さが分からなくても同じ大きさ(体積)の生地を作られたら同じ大きさで同じ重さの生地が2つできあがります。生地を詰める小さなコップが一つの単位になったわけです。コップが小さければ小さいほど正確に2つの同じ生地が作られます。ペットボトルのキャップのように小さなものなら正確に同じ大きさの生地が作られそうですね。

 

3.記事を平らにして同じ型で生地を切り取って同じ枚数を使って生地に戻す

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 こちらも、少量の生地を使った「単位」で同じ大きさの生地を作るアイディアです。生地を薄く平らにして、型を使って同じ大きさの小さな生地をたくさん作ります。その後、同じ大きさの小さな生地を30個と30個、のようにそれぞれ同じ枚数を使って生地に戻すとほぼ正確に同じ重さの生地2つが出来上がります。

 

4.重さを計れるものを作ってしまう

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こんな形のハンガーでも、調理用のローラーでも、左右が同じ棒の両端に同じ大きさの生地を適当にかけてみます。それで左右がバランスよく平行すれば同じ重さの生地2つが完成します。このとき、棒の中心に糸を垂らすなり、力を入れずにそっと持ったりすればちゃんと同じ大きさの生地が出来上がります。

 

5.棒状にした生地を凍らせて生地の重心を見つけて2つの分ける

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左右の形が違う棒でも、左右の重さが同じようになるところでバランスを保つようになります。これを重心と言います。そのために、生地を適当に棒状にして凍らせて、左右がバランスよく平行になるところで半分に切れば同じ重さの生地2つができあがります。

 

6.小さな袋の小麦粉を2つ用意すれば、同じ重さの生地2つできあがり

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最初から小型パックになっている小麦粉を2つ買ってそれぞれの小麦粉で生地を作れば重さを計ることなく2つの同じ重さの生地が作れます。

 

7.計量カップがあれば、同じ量の小麦粉が計れるので同じ重さの生地も作れる

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小麦粉は100%均一な小麦粉で作られているので、計量カップで同じ量の小麦粉を計って、混ぜずにそれぞれの小麦粉で生地を作れば同じ重さの生地2つが簡単に作られます。

 

8.製麺機があったので、作った麺の長さを揃えて生地に戻す

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製麺機で作られる麺は太さが一定で、同じ長さなら重さも一緒です。そのために、ケーキの生地を麺にした後に、同じ長さの麺を再度生地に戻すと同じ重さの生地2つができあがります。

 

これらの答案例は、あくまでも一部の例です。

「確かにできるかも!」といったアイディアがあるなら大いにほめてあげてください。生地が本当に正確に2つにできるかよりは、2つにできる可能性に辿り着いたこどもの思考力をほめたたえて延ばすべきです。

計算機やパソコンのように正確さを第一に置くのではなく、人間の斬新でユニークで独創的な思考に価値があります

不正解など、まったく気にせず、自由に考えて会話をしてみてください。きっとこどもの考える楽しさも、考える力も養われていくと思います。

 

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《 問題解説2》ペットボトルを再利用する方法を考えよう!

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【ペットボトルは、やや伸縮性のあるプラスチックで出来ています。

密閉性の高い液体用の容器で、潰したり切り取ったりと簡単に加工ができます】

 

まずは解答例の紹介。

 

1.ペットボトルにコインが入る穴をあけて貯金箱にする

2.中が見える透明なペットボトルに小さな空気穴を空けてカブトムシの飼育箱にする

3.ペットボトルを半分に切り、土を入れて鉢にする

4.2つのペットボトルに石を数個いれて叩き合うことで楽器として使う

5.ペットボトルが簡単に水に浮くことを利用して、たくさんのペットボトルを集めて人が乗れるボートにする

6.1リットル、1.5リットルなど、容量が決まっているペットボトルを利用して液体の量を図ることに利用する

7.ペットボトルの中に砂や水を入れて、持ち上げながら筋トレに使う

8.ペットボトルをそのまま花瓶として使う

9.ペットボトルをたくさん集めて油を搾りだして燃料として使う

10.ペットボトルをたくさん集めてつぶし、空気のたくさん入った断熱&防音壁の材料として使う

など

 

今回のテーマは、以上のような様々な形のペットボトルの特性を考え、今までの経験やアイディアを活かして取り組む課題です。解説では、ペットボトルを水筒として利用したり、貯金箱として利用したり、ペットボトルロケットを作るなど、学校や家での「経験的知識」に基づいた利用法もあります。経験した事のある既存の知識であっても、目的を意識して引き出す努力は思考能力の向上に非常に良い訓練になります。体験する事で習得した経験的知識、そして文字や言葉として習得した情報を、より複合的かつ自由に取り扱える知識に変換する為の訓練なのです。

 

従って、経験に基づいた情報による解答や、聞いた話による不明確な情報に基づいた、何の変哲のない解答でさえ、求められている答え(ペットボトルの再利用)として合致するものであれば高く評価してください。質の高い解答を出さなければならないといった思考の制限を取り払い、より多くの答えを考え抜く努力が思考力の成長に大変有効です。多くの解答を導き出す為に思考を働かせると、目的に照らし合わせて脳内に存在する様々な情報を探索し、有効な情報を引き出す事になります。このような思考は、思考能力を向上させる為の絶好の訓練になり、高度な思考を可能にする思考の礎を築く為になります。

 

また、ペットボトルを再利用する方法として、「おもちゃ」や「実用品」、「園芸道具」など、様々なジャンルの使い方を数多く考え抜いた解答を優れた解答として評価して下さい。思考は個人の趣向によって偏ったものになりやすいですが、多方向への思考の拡大を促す事で従来のアイディアよりも様々なジャンルに関わるアイディアを引き出す事ができるようになります。複雑に入り混じる思考の中でも、目的を意識して思考を拡大させようとする努力が、自らの限界を超えた柔軟で豊かな思考力を築く基礎になります。

 

さらに、高く評価できる解答には、複数のアイディアを結合・融合させたものがあります。例えば、解説で紹介した「空気圧で飛ぶペットボトルロケット」を考えたとして、さらに「ペットボトルロケットにアイスクリームを載せて運ぶ」といった新たな利用法を生み出す事ができます。「ペットボトルロケット」といった答えに止まらず、さらに高い次元でのペットボトルの利用法を考え抜いた大変優秀な解答です。このように、生み出したアイディアを基に、さらに思考を展開する複合的な思考は、より複雑で高度な解答を導き出す時にも非常に有効です。このような思考を高く評価する事で、子供の思考も深くて精巧なものになっていくことでしょう。

 

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《 問題解説1》学校に誰もいない理由を考えよう!

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いつものように学校に行ったのに、誰もいない学校。

何が起きたのでしょうか。

 

この問題は、普段の生活の中で起きた突発的な出来事に対して、どのような可能性があるか考える課題です。

 

解説では、この問題に対する論理的な解答を大きく以下の2つのケースから例を挙げて説明しています。

 

1つ目は【学校が休みになった場合】です。学校が休みになった場合の考えられる具体的な例としては、「竜巻」や「台風」、「地震」などの災害や、「その他の激しい気象現象」による学校の臨時休業です。または学校周辺で起きた事件や事故の為に学校が臨時休校をしている事も考えられるでしょう。臨時休業になった連絡が遅れたり、連絡が伝わらなかったりした為に、自分だけが学校に行った可能性もあるでしょう。

 

2つ目は【今日はもともと授業のない日だった】場合です。その具体的な例としては、「全校の課外活動で学校に誰もいなかった」、「転校してきたばかりで道を間違い、今日が休みの、隣の学校に行ってしまった」、「今日から夏休みだったが、忘れていた」、「今日は休日だった」、「そもそも全て夢だった」などの、様々な可能性があります。

 

この問題に対する解答は、以上で挙げた解答例以外でも様々な答案が考えられます。その解答を正しく評価する為には、以下の2つの基準に照らし合わすのが有効です。

 

先ず1つ目は、「可能性」です。どんなに希薄な可能性でも少しの可能性でもあれば、その解答は素晴らしい解答として褒めて下さい。どんなに小さな可能性でも、判断基準によっては大きな可能性として成り立つ事もあります。可能性に対する気づきを高く評価する事で、型にはまらない柔軟で斬新な思考能力の基礎が固まる事でしょう。

 

2つ目の評価基準が「論理性」です。子供が考えた解答の理由・根拠が、論理性があると判断できる場合、高く評価して惜しまずに褒めて下さい。結論に対する理由と根拠のある答えを多く出せば出すほど、論理的思考の働かせる習慣が身に付きます。自らの論理的思考が高く評価された成功体験を持つことで、高い思考能力を築く基礎となります。

 

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《 問題解説 Warming up 》気づかなかった周りの変化に気づこう!

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まずは、解答例から。

味覚、聴覚、視覚、嗅覚、触覚から気づく周りの変化を見つけて羅列してみましょう。 

 

1.味の変化

・サツマイモを焼いて食べたら数十倍も甘くなった

・辛いスープを熱々にして飲んだら更に辛さが増した

・テーブルに置いてあった豆腐の味が酸っぱくなった

・リンゴジュースにグレープフルーツジュースを入れたら苦くなった

・いつもおいしいイチゴが、あまいケーキを食べた後に食べるとおいしくない

など

 

2.音の変化

・水が入ったコップを箸でたたくと水の量で音が変わる

・家の外で聞こえるサイレンが徐々に小さくなっていく

・家のそとにある機械の音が夜には大きく聞こえる

・お兄ちゃんは小学生のときと高校生の時の声が違う

・お母さんは朝の声と夜の声が違う

など

 

3.見た目の変化

・半透明だったタマゴの白身が白く変わった

・ぴかぴかだった自転車の部品が赤茶色に変わった

・空の色が青からピンクに変わった

・皮を剥いたリンゴが茶色く変わった

・黒いエビを茹でたら鮮やかなオレンジ色になった

・きれいな黄色のバナナに黒い点が出てきた

・小さな米が炊いたら少し大きくなった

など

 

4.匂いの変化

・匂いがしなかった米だけど、炊いたら家中ご飯の匂いに包まれた

・雨が降ると庭からいつもと違う匂いがする

・きれいだったお父さんの足が夜になると臭くなる

・新鮮な牛乳を1か月飲まずにおいておいたらとても臭くなった

・お風呂にカビの匂いがしはじめた

など

 

5.肌感覚の変化

 ・冷たい窓のガラスが昼間の日差しで温かくなった

・さらさらだった肌が汗でべとべとする

・さらさらだった水が凍ってざらざらとする

・去年生まれた妹を抱いてみると半年前より重くなった

など

 

このように私たちの周りには数えきれないほどの小さな変化が起きています。その変化を見つけて、原因を考えることは非常にレベルの高い学習になります。

 

さて、今回の問題は、身体の五感を利用して、身の回りの変化に気づいてもらおうとした問題です。当たり前のように普段の日常で経験から‘変化’に気づく事で、周囲から与えられる五感の刺激を情報として蓄える事を目的としています。無意識的に体験している経験を意識して言語化する事で、経験の知識化が期待できます。つまり、経験したことのある体験的記憶を、いつでも引き出せる知識として取り扱えるようになるのです。

 

また、経験から得た情報の因果関係を調べたり考えたりする中で、知識の運用方法を理解する事になります。

 

例えば、「熱いお茶は時間が経つにつれて冷めてしまった&冷たい氷は時間が経つにつれて溶けてぬるい水になってしまった」といった現象を見て「熱いお湯は時間が経つと冷める&冷たい氷は時間が経つと溶ける」といった経験的な知識が身に付きます。

 

ここで、その現象の原因を調べ、考えたところ「熱は高いところから低いところへ移動するために、常温では80℃の熱いお茶は冷めるし、0度の冷たい氷は溶ける」と現象を理解する事ができます。

 

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▲熱いお茶の熱が湯気の形で移動している 

 

この経験的知識は、後に学校で学ぶ事になる【熱伝導】の知識であって、子供の経験的知識から自然と理解する事ができます。

 

このように、普段の生活の中で周囲の現象を注意深く観察したり、調べたり、考える事で素晴らしい洞察力が身に付きます。また、経験的知識は、与えられた言語的情報ではなく、生活の中で経験して理解した活きた知恵としていつでも引き出す事ができます。

 

 

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▲様々な科学技術が結集した仕掛けだらけの場所の家

 

解説では、子供が最も長く過ごす家の中から、身近なものがどんな変化をしているか考えてもらうための一例を紹介しています。これらの例は、子供の生活の中でも一度は見て、触って、自ら体験した可能性の高いテーマです。子供と共に家中を歩き回りながら、どんな変化があるのか一緒に考える事は非常に良い勉強になることでしょう。

 

本ブログで紹介している例題の答えは、以上の解説で説明している答え以外にも無数に考えられます。個人的に認識しうる変化や、身体の中の変化、ごく当たり前に分かってしまう変化まで、どんな変化でも大正解です。大事な事は、変化を見つけて認識し、自分の言葉にして答えられるようになる事です。この一連の流れで‘変化’に気づき、見つけ出す力が養われ、子供の思考能力が伸びる土台が強く形成される事になります。

《 問題解説12》象を冷蔵庫に入れる方法を考えよう!

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この問題は、子供から大学生までの授業の素材としても、外資系企業の採用面接の問題としても使われている問題です。知識や教育環境によっても答えられる解答のレベルは変わりますが、子供から大人まで誰もが挑戦できる問題なのです。大人も頭の固いもので、子供より有利だとも言えません。

 

この実践問題では象を冷蔵庫に入れる方法を求めています。この問題に触れた多くの人は「あんなに大きな象を小さな冷蔵庫に入れるのは難しい」と思い込むのではないでしょうか。しかし、問題では必ずしも大きな象を冷蔵庫に入れて下さいとは求められていません。自由な発想で、象を冷蔵庫に入れることだけを目的に思考を展開していけば良いです。

 

それでは象を冷蔵庫に入れる方法を見てみましょう。

 

【象を冷蔵庫に入れる方法】

 

①象が大きければ、もっと大きな冷蔵庫に象を入れる

:マグロを保管する冷凍倉庫のような大きな冷蔵庫に入れればいい!

 

②冷蔵庫象に象の片足だけ入れる

:問題では象の体全部入れてくださいと言っていないし、冷蔵庫のドアを閉めてくださいと言わないなら片足だけ入れれば大丈夫!

 

③象を乾かして粉砕して小さくして冷蔵庫に入れる

:問題で生きたままの象を冷蔵庫に入れてくださいと言っていないので、象を乾かして水分を飛ばして粉にすれば冷蔵庫に入るほどの小さなものにして入れれば解決!

 

④象の歯(象牙/ぞうげ)だけ冷蔵庫に入れる

:象の全部を入れてくださいと言っていないので、象の一部だけ入れる。

 

⑤もともと小さな新種の象を作って冷蔵庫に入れる

:科学の力で小さな象を作って冷蔵庫に入れると簡単に成功!

 

⑥象の人形を冷蔵庫に入れる

:本物の象を入れてくださいとは言っていないので人形を入れてしまえば大丈夫!

 

⑦象にダイエットしてもらって冷蔵庫に入れる

:小さな象ならダイエットすればもっと小さくなって冷蔵庫に入るはず!

 

⑧象の形に合った冷蔵庫を作って象を入れる

:冷蔵庫も大きいものだから、象の形に合った冷蔵庫を作れば象も入れられる。

 

⑨まだ生まれる前の小さな象を冷蔵庫に入れる

:生まれる前の小さな象ならいくらでも入れられる!

 

この実践問題では、象を冷蔵庫に入れる事だけ求められているので、大きい象か小さい象か、本物か偽物かなど、細かいことは問われていません。「そんなことダメでしょ!」と思う答えもあるかもしれませんが、誰も縛っていない思考の制限を自分で作り出して縛る必要はどこにもありません。

その為に、どんな「象」であれ、冷蔵庫の中に入れたところでミッションクリアです。

この問題では、勝手な思い込みや先入観、固定観念を捨てて、何が求められているかを考えた上で、求められた解答を考え抜く事だけを考えれば良いのです。従って、道理に合わない、こじつけのような解答でも、「象を冷蔵庫に入れる」といったミッションを忠実に実行している方法であれば高く評価されるべきであります。特に、多くのアイディアを出した解答を高く評価して頂きたいです。

 

このような問題に接して、真剣に思考を働かせる事で、固定観念や先入観に囚われない自由で斬新な思考が養われる事を期待しています。

 

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《 問題解説9》なんで火事になったか考えよう!

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やれやれ、わしの部屋が火事になっちゃったのじゃ。

しかし、どうしてもわしには原因が分からんのじゃよ。

おぬしが思う火事の原因をかいてみてくれんかの。

本当にありえる、論理的な理由があれば、どんな原因でもいいのじゃよ。

記憶に残っている、わしの部屋を絵に描いてみたんじゃわしの絵を参考に、自由に考えてくだされ!だとして、わしの描いた絵にこだわらずに原因を考えておくれ。

 

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① タバコの火からの発火

-火の不始末、ラファエルおじさんはタバコの火を消し忘れた。タバコの火は、燃えている中で偶然灰皿から転がり落ちて、書類に火がついてしまった。そこでラファエルおじさんの家は火事になってしまった。

 

②たこ足配線からの発火

-ラファエルおじさんは、大の家電好き。家のコンセントがいくつあったも足りない。一つのコンセントに差し込んだ電気線が多すぎて、コンセントの電線が我慢できずに燃えちゃった。それが火事になった。

 

③ネズミが電線をかじり漏電して発火

ラファエルおじさんの部屋には、小さなネズミが住んでいる。ネズミは何でも噛みたがって、電線までかじってしまった。かじられた電線は+線と-線が接触して火が出てしまった。それが火事になった。

 

④ネコがネズミを追っかける中で水槽を倒し、電気プラグから漏電して発火

ラファエルおじさんのペット、ネコのルシエルはネズミを追っかけて突進、水槽を倒してしまった。水槽の水は電気コンセントにかかってしまって電気が漏れて火花が飛ぶ。そこから火事になってしまった。

 

⑤電気スタンドが壊れていて、突然発火

ラファエルおじさんのスタンドは、もう30年も前に買った物。電気スタンドの中の電線が古くなって突然電気の漏れで火花が散った。その火花から周りの書類に火が移り、火災になってしまった。

 

⑥太陽光がメガネによって集められ、焦点から発火

ラファエルおじさんは目が悪い。もう年なのだ。ラファエルおじさんのメガネは老眼鏡で、光を集める。たまたま机の上においていたメガネのレンズに太陽光が集中されて火種ができ、火災になってしまった。

 

⑦隣の部屋の火事が移った

実は、ラファエルおじさんの部屋の中から火災になったわけじゃなかった。隣の家の火災で、ラファエルおじさんの家に火が移ってしまったのだ。その後、どっちの火災が先だったかが分からなくなったのである。

 

⑧誰かがラファエルおじさんの部屋に放火した

町の皆から好かれるラファエルおじさん、そのおじさんをねたんで、心の悪い人がラファエルおじさんの家に火をつけたのだ。この放火によってラファエルおじさんの部屋は燃えてしまったのである。

 

⑨観葉植物の葉の上に付いていた水滴に太陽光が集中されて発火

ラファエルおじさんの部屋には葉っぱが広い植物がおいてある。水をあげた植物の葉の上は水滴が転がっていた。その水滴に太陽光が当たった事で、水滴を通った光が集まって書類の温度を上げてしまった。温度の上がった紙の書類に火がついて火災になってしまった。

 

⑩部屋の温度が上昇して、部屋の中にあったマッチに火が付き発火

ラファエルおじさんは真夏の暑さから逃げて良好に出かけていた。部屋の防犯を考えて窓とドアはしっかりと閉めていた。その為に真夏の部屋の温度はぐんぐん上昇!部屋の中にいた古いマッチに火がついてしまった。その火が部屋に広まってしまい大きな火災になってしまったのだ。

 

⑪など

このように、問題の答えはきりがない。考えれば考えるほど、可能性のある答えが生まれる。「それは可能性が低い!」、「それは関係ないでしょう!」とか思わずに、自由に理由を考えてごらん。

 

<タコ足配線について詳しく知ってみよう!>

 

みなさんは‘たこ足配線’って知ってますか?

たこ足配線’とは、一つの電気コンセントに、私の足の数くらいたくさんのコンセントを差し込んでいるものを言うんですよ。

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たこ足配線になると、電気の流れているところが熱くなって、電線を覆っているゴムのようなものが溶けたり、火事になる原因になったりするらしいです。

 

たこ足配線がつながっているところは、結局ひとつのところになるために、そのひとつの電線には、たくさんの電気が集中して流れることになるんですよ。

 

物に集中して電気が流れると、物の温度がぐんぐん上がって熱くなります。家にある家電製品を触ってみるとよくわかります。

 

電気が流れて熱が出る原因は、電線の中に電子という小さな電気の子どもが走っているからです。

 

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普段は休んでいた電子は、電気が流れると、プラスの電気とマイナスの電気でそれぞれ一定方向へ走り出すのです。まるで、車線の異なる高速道路のようなイメージですね。

 

電線の中は、高速道路で車が車線に沿って走っているように、電子が電線に沿って走っています。こうやって電気を運んでいるのです。

 
ここで、また高速道路を考えてください。車の少ない道路では、特に問題もないのですが、車の多い、渋滞した道路では、交通事故は起こったり、運転手さん同士でけんかが起きたりもしますね。

 

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電線の中も同じなんです。たくさんの電気が流れ過ぎて、電線の中を多すぎる電子が走ってしまうと、電子同士でぶつかったり渋滞が起きたりして、電線の中が大混乱に陥るのです。電線の中が電子で渋滞してしまうと、電線内では熱が生まれます。

 

熱が生まれる原因は、実は電線内で電子が動くときに自然に熱が出るためです。電線の中は、実は高速道路のように自由に走れるところではなく、プールの中のようなものなんです。プールで遊んだことのある人はわかると思いますが、プールの中で動くとプールの外よりも動きにくいですよね。もっとたくさんの力が必要になります。電子の力が、たくさんの必要になる分、電線の中は温度が上がるのですよ。

 

 

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また、熱が上がる理由はもうひとつあります。電子と電子がぶつかる時のエネルギーが、熱に変わってしまうからです。この熱がたまると、電線の温度が高くなって、電線を覆っているゴムのようなものが溶けてしまいます。そうなりますと、電気が外に流れてしまって火事になってしまうのです。

 

電線の外になるもの、つまり、紙くずや、カーテンに電気があたると、電子は電線の中でよりもすごく苦労をするんです。電線よりも、紙くずやカーテンに電気が流れにくいためです。そのために電気は流れないで熱ばかり生まれてしまって、家事になる火が起こってしまうのです。

 

 

このような理由で、「たこ足配線」のために、ラファエルおじさんの部屋に家事が起こってしまったわけです。

 

みなさん、理解できましたか?

 

たこ足配線、恐ろしいものです。

 

みなさんは、たこ足配線に注意して、ラファエルおじさんのように家事にならないように気をつけてくださいね。

 

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